会社員が副業でセミナー講師に挑戦!3回目の登壇で気づいた落とし穴

男性がセミナー講師をしているところ 未分類

20年間、会社で営業の企画や会社全体の計画を立てる仕事をしてきた私。

その経験を活かせないかと考えていたところ、中小企業の経営者向けにアドバイスをするセミナー講師の話をもらい、副業として始めることにしました。

 

今回はそんな副業の実録です。

 

「自分の知識で困っている社長さんたちを助けられる!」と期待していましたが、現実は全く違いました。

最初の3回で「このままじゃマズイ…」と本気で焦ることに。。

問題は専門知識が足りないことではなく、業界ごとに全く違うルールや商習慣(ビジネスの常識)を知らなかったことでした。

セミナー講師の具体的な仕事内容

個別セミナーの風景写真

※実際の個別セミナー時の写真

 

私が行った仕事は、一般的に経営コンサルタント、ビジネスコンサルタントと呼ばれる仕事です。

会員企業である中小企業の社長さんと1対1で話して、会社の問題を一緒に解決していくというもの。普通のセミナーというより、個別コンサルティング(個別相談)に近い形式です。

 

やることは大きく3つ:

  1. 事前準備: 会社の財務諸表(決算書など、会社のお金の状況が分かる書類)を見て、良いところと悪いところを分析
  2. 面談: 社長さんと直接1対1でディスカッション(話し合い)をして、「こうしたい」という理想と現実のズレを深く掘り下げる
  3. 課題の明確化: 今の問題と将来の問題をハッキリさせて、解決の方向を示す

ただ知識を教えるだけじゃなく、会社ごとに違う悩みに答えないといけない、かなり重要で複雑な仕事です。

セミナー講師になるには?私の場合の始め方

よく「どうやってセミナー講師になったんですか?」と聞かれます。

私の場合は、本業の関係で様々なイベントや展示会に足を運ぶ機会が多く、そこで多くの人と会話をして人脈を広げていました。プライベートでもなく、純粋な業務でもない、でも仕事の話ができる関係性を築いていたのです。

そんな人脈作りの延長線上で出会った方に声をかけていただいたのが、このセミナー講師の仕事を始めたきっかけでした。

つまり、「誘っていただいた」というのが正直なところです。

特別な応募や登録をしたわけではなく、日頃の人との繋がりが副業のチャンスを運んできてくれた形ですね。

セミナー講師の給料はどのくらい?

始めたころ:

  • 1回の登壇(セミナー実施)で5,000円
  • リサーチ(調査)やディスカッション準備の時間は別
  • 経営課題の対策取り組みに合意してもらえたら、半年分として1件50,000円追加
  • 準備時間を入れると時給1,200円くらい(正直、かなり安い…)
  • 月収は15,000円程度

当時は「知識が増えることへの投資」と考えていました。

2年後の今:

  • 1回の登壇で10,000円に向上
  • リピーターや紹介が増えて、年間7社と対策取り組みを進めている
  • 月に3〜5回のペースで安定して仕事
  • 月収50,000円が安定収入に
  • 準備に8時間、登壇に5時間、合計13時間で時給3,000円以上

約1年間の継続で、登壇単価の交渉ができるようになりました。この1年間で7社の経営課題に触れ、知識の引き出しを劇的に増やしました。

役立ったスキル・資格

一番必要だったのは、財務諸表を読み解く帳票分析力です。つまり、会社の決算書などを見て「この会社の健康状態はどうか」を判断する力ですね。

元々、本業で基礎はありましたが、もっと深く、色々な業界に対応できるように、副業を始めてからファイナンシャル・プランナー(FP)資格を取りました。

 

FP資格とは: お金に関する幅広い知識を証明する資格で、家計管理から企業の財務まで、お金の流れを総合的に理解できるようになります。

 

この資格を取ったことで、分析能力と知識の裏付けが強化され、セミナー参加者からの評価が上がりました。結果的に、登壇単価の向上と取り組み件数の増加につながりました。

現在では、リサーチ効率が上がって準備時間も短縮できています。

セミナー講師副業の良いところ

大規模セミナーの風景

※コチラはホテルを使った大規模セミナーの写真。個人情報にはモザイク処理してありますが、TOYOTA関連のセミナーです。

本業の「視野」が格段に広がる

色々な業界の中小企業と関わることで、本業の経営企画職では絶対に触れられない情報を得られました。

  • 市場のニッチな(すき間の)動き
  • サプライチェーン(商品が作られて売られるまでの流れ)の裏側
  • 業界特有のキャッシュフロー(お金の流れ)のサイクル
  • 労務管理(人の雇い方や働かせ方)の実態

これは会社員の視点だけでは絶対に得られない「生きた会社の情報」で、本業の企画にリアリティを増す上で計り知れないメリットになりました。

「超高密度なディスカッション能力」が鍛えられる

忙しい社長さんという限られた時間の中で結論を求める相手に対して、分析結果を伝え、本音を引き出し、方向性を合意形成する必要があります。

これにより、論点を瞬時に整理し、相手の言葉の裏にある真意を汲み取る力が鍛えられました。

セミナー講師で一番大変だったこと

業界情報のキャッチアップ(追いつくこと)

製造業、小売業、士業(弁護士や税理士などの専門職)…全く違う業界の社長さんが相手になるので、登壇のたびにその業界特有の情報を集中的にリサーチしました。

調べること:

  • 商習慣(その業界の取引のやり方)
  • 労働集約度(どれくらい人の手がかかるか)
  • 最新の法改正
  • 競合の動向

1時間のディスカッションのために、平均5時間以上のリサーチが必要でした。このリサーチ負荷が精神的に非常にキツかったです。

数字の課題と人の課題が一致しないケース

これが最もストレスを感じた部分です。

例えば、財務諸表上は「売上原価率(商品を作るコスト)が高い」という課題が見えても、実際に社長さんと話してみると…

実はベテラン職人の退職が相次いで、スキル不足による歩留まり悪化(失敗が増えること)が原因」

という人間関係や技術的なリアルな課題が見えてきます。そうなると、提示する解決策が根本から変わってしまうため、プレッシャーを感じました。

提案が実行されないもどかしさ

最初は「解決策を提示すれば、すぐに結果が出る」と考えていましたが、中小企業は人もお金も限られているため、実行に移すまでのスピードが遅いこともあります。

「提案しても実行されない」というもどかしさも、初期にはストレスの原因でした。

どんな人に向いている?

仕事について考えている男性

向いている人

探求心を持つ人: 自分の専門分野だけでなく、全く知らない業界に対しても「なぜ?どうなっている?」と興味を持ち、深く調べることを苦にしない人。この探究心が登壇の質を決めます。

「本音を引き出す」コミュニケーション力がある人: 経営者は忙しく、表層的な情報しか話さないこともあります。限られた時間で信頼関係を築き、「本当の悩み」を言語化させるための傾聴力と質問力がある人です。

向いていない人

知識のアウトプットを「一方的な講義」だと思っている人: セミナー講師という肩書きでも、実態はコンサルティングです。自分の知識を押し付けたい人や、ディスカッションを楽しめない人は、クライアント(お客さん)のニーズに応えることができません。

「時間対効果」を初期から重視する人:初期の時給換算は1,000円以下になる可能性が高いです。目先の単価に囚われず、将来のスキルアップへの投資だと考えられないと、途中で挫折します。

業界の常識や商習慣を「軽視」してしまう人: 各業界には特有のルールや文化があり、それを理解せず「一般的な正論」だけを振りかざしても、経営者には響きません。まず成功しないはずです。

これから始める人へのアドバイス

私がこの副業を始めたばかりの頃に戻れるなら、以下の2つの準備を最優先します。

1. 事前に「業界知識のインデックス」を整理しておく

登壇する企業が決まってから慌ててリサーチするのではなく、事前に主要な業界(製造、小売、サービス、ITなど)の情報をまとめた自分用のインデックス(索引・まとめ)を作成しておくべきです。

まとめておく内容:

  • 一般的な経営指標(その業界の平均的な数字)
  • 商習慣の要点

これにより、クライアントの財務諸表を見た瞬間に「この業界なら、この数字が妥当なラインだ」という基準が持て、リサーチ時間を大幅に短縮できます。

私はこのインデックス作成に4ヶ月費やし、結果としてリサーチ効率を大幅に改善できました。

2. トラブルを防ぐコツは「前提条件の確認」

コンサルティングのトラブルは、「ゴール認識のズレ」から生じます。

登壇開始時に、

「今日のゴールは〇〇(例:来期のキャッシュフロー改善の方向性決定)でよろしいでしょうか?」

と必ず口頭で確認し、記録に残しましょう。

特に、経営者側が「全てを解決してくれる」という過度な期待を抱いている場合があるため、「我々はあくまで外部の専門家として意見を提示する伴走者である」という前提を丁寧に伝えることが重要です。

まとめ

副業としてのセミナー講師(経営者支援)は、自分のこれまでの経験と知識を活かし、お金を稼ぎながらスキルを磨き、社会貢献もできるというとてもやりがいのある仕事です。

初期の低単価や業界知識不足という壁はありましたが、それらを乗り越えるための自己投資(FP資格取得など)が、結果的に本業にもフィードバックされるという相乗効果を生みました。

私の総評は、「挑戦して本当に良かった」です。

 

これから専門知識を活かした副業を考えている皆さんへ。

 

あなたの経験は必ず誰かの役に立ちます。

ただし、「専門知識はスタートラインに過ぎない」という現実を忘れないでください。

他業界への謙虚な姿勢と、常に学び続けるリサーチ力こそが、高単価とクライアントからの信頼を勝ち取る唯一の鍵です。

あなたの経験をぜひ、次のステージで活かしてください!

 

この記事を書いた人

  • マルキー(30代男性)

現在の仕事

  • マーケティング
  • 人材教育

有資格

  • FP(ファイナンシャルプランナー資格)

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