LINEスタンプ副業を始めたきっかけは、本屋で『2ヶ月で月30万円を実現する 超初心者でも稼げるAI活用法』(あべ むつき著)を見つけたのが始まりでした。
才能はないけれどPCはいじるのが好きで、「AIが助けてくれるなら自分にも何かできるかもしれない」と思い、本の手順どおりにスタンプ作成と販売に挑戦しました。
ところが、リリースから2か月たっても買ってくれたのは友人数人と知らない人が1セットだけ。
「ここまで時間をかけて、この結果か…」と、現実の厳しさを思い知らされました。今回はそんな私の実録副業体験をお伝えします。
LINEスタンプ副業の始め方と必要なもの
実際に作ったLINEスタンプ

※現在もLINEストアから購入できます。
私が取り組んだのは、「AIで柴犬のぬいぐるみ風キャラクターを作り、LINEスタンプとして販売する」副業です。
画像生成は無課金で使えるGeminiをメインにし、こちらの指示に合わせてさまざまなポーズの柴犬を出力しました。
その画像にCanvaで文字を載せ、友人の「背景が透明なほうがかわいい」という一言をきっかけに、「手軽に透明png」というツールで背景を白抜きし、スタンプ用の透過PNGに整えました。
完成した画像はLINEクリエイターズマーケットに登録し、審査通過後にLINE STOREで販売します。
1セット作るのにかかった時間は、毎晩3〜4時間を約1週間ほど。
PCとネット環境があれば始められますが、AIへの指示出しや画像編集の基本操作を覚えるまでは、想像以上に試行錯誤が必要でした。
「AIが全部やってくれる」というより、人間側で仕上げる力と根気が求められる仕事だと感じました。
特別な資格は要りませんが、道具に慣れるまでの小さな壁はいくつもあります。
やってみて分かった良かったこと・大変だったこと
知人女性には人気の高かった柴犬スタンプ
誰かに買ってもらえた喜び
一番うれしかったのは、「自分が作ったスタンプを誰かが本当に購入してくれた」という体験でした。
完成したスタンプを友人に紹介すると、みんな口をそろえて「かわいい!」と言ってくれただけでなく、「シーズーのスタンプを作ってほしい」「猿バージョンも欲しい」など具体的なリクエストまで来るようになりました。
普段、私は介護福祉士として働いており、”自分の商品を作って売る”という仕事とは無縁の生活です。
そんな自分がAIの力を借りながらとはいえ、キャラクターを企画し、言葉を考え、販売ページを整え、お金をいただくところまで行けたのは、大きな達成感になりました。
「才能がない自分でも、工夫と時間をかければ形になるものを作れるんだ」と感じられたのは、想定外の大きなメリットです
。友人たちが自分のスタンプを日常のトークで使ってくれているのを見ると、「作って良かったな」と素直に思えます。
言葉選びと背景透過の苦労
一方で、大変だった部分も多くありました。まず苦労したのが「言葉選び」です。
AIで画像を作るだけなら難しくありませんが、「このポーズの柴犬にどんなセリフを乗せたら日常で使いやすいか」を考えるのに時間がかかりました。
無計画にポーズだけ増やしてしまったため、「いい画像なのに合う言葉が浮かばない」「この言葉にぴったりなポーズがない」といった行き違いも頻発しました。
また、LINEスタンプの登録では1つのスタンプにつき最大9つまで表現タグを選ぶ必要がありますが、イメージと合うものをそろえるのに頭を悩ませました。
背景を透明化する作業も想像以上に手間がかかりました。「手軽に透明png」は便利なツールですが、最初は操作に慣れるまで時間が必要でしたし、慣れてからも細かい部分に背景が残ってしまうことがあります。
特に柴犬の足の隙間や文字の隙間など、細かい部分をきれいに抜くには手動での調整が欠かせません。「ここを妥協すると一気に安っぽく見える」と分かっているだけに、1枚ずつ丁寧に処理するのはなかなか骨の折れる作業でした。
AI画像生成のトラブルと収益の現実
AI画像ならではの”ホラー”なトラブルもありました。Geminiでポーズを変えながら画像を生成していると、時々足が5本生えていたり、口が二重になっていたりと、不自然な犬が出てきます。指示を変えても別の部分が崩れてしまうことも多く、何度もプロンプトを書き直す作業にはストレスを感じました。どうにもならない画像は、PCのペイント機能で不要な部分を手作業で消して使うこともありました。
気になるお金の話ですが、正直に言うと「稼げた」とは言えません。
スタンプをリリースしたのは9月で、その月の売上は約300円。それ以降は0円が続いています。
1セットを作るのに使った時間はトータルで20時間前後なので、単純計算すると時給にして約15円です。
「副業でお小遣い稼ぎ」というより、「経験を買うために時間を投資した」と言ったほうが近い感覚でした。
ただ、本に書かれていた「自分から売り込むことも大事」という一文を信じ、完成後すぐ友人に紹介したことで、販売開始直後から数件の購入につながりました。
成果が出るまでの期間だけを見ると短く感じますが、その後は伸び悩んでいます。「作れば勝手に売れる」という甘いイメージは崩れ、「スタンプを作る力」と同じくらい「どうやって人に知ってもらうか」を考える力が必要だと身をもって実感しました。
こんな人に向いている・向いていない

実際にやってみて感じたのは、LINEスタンプ副業は「コツコツ作業と細かい調整が苦にならない人」に向いているということです。
キャラクターの表情やポーズ、文字の位置やフォントの太さなど、細部を詰めるほど仕上がりが良くなります。トーク画面ではスタンプが小さく表示されるため、「小さくしても読めるか」「一瞬で感情が伝わるか」を意識して微調整できる人は楽しめると思います。
また、「すぐに大きく稼ぎたい」よりも、「自分の世界観やキャラクターを形にしたい」「誰かの日常に自分のスタンプが紛れ込んでくれたら嬉しい」と思える人のほうが続けやすいと感じました。
反対に、結果がすぐお金に結びつかないとモチベーションが保てないタイプの人には向きません。20時間かけて作って300円という現実に直面すると、「割に合わない」と感じてしまうかもしれません。
また、計画を立てるのが極端に苦手な人もやや厳しいです。無計画に画像とセリフを増やすと、「この言葉に合うスタンプがない」と行き詰まります。
「地道な作業は嫌いじゃない」「数字よりも経験や作品として残ることに価値を感じられる」という人には、相性の良い副業だと思います。
初心者が失敗しないためのアドバイス
もし今からもう一度ゼロから始めるとしたら、まず最初にやるのは「言葉のリストアップ」です。私はポーズから先に作ってしまったせいで、後からセリフに悩み続けることになりました。先に「日常でよく使う言葉」や「ターゲットに使ってほしいフレーズ」を20〜30個書き出し、それに合うポーズをAIに生成してもらったほうが、作業はずっとスムーズだったと思います。
また、「誰に向けたスタンプなのか」を最初に決めておくのも大事です。「かわいい柴犬が好きな人」くらいのイメージではぼんやりしていて、「仕事終わりの愚痴を送りたい人向け」「家族とのやりとり用」など、もう一歩具体的に絞ったほうがセリフ選びも迷いにくくなります。
作業効率の面では、画像生成をまとめて行うこと、透過作業を同じ条件のものごとに一気に処理すること、Canva上でフォントや文字サイズのテンプレを作っておくことが役立ちました。AI画像の利用規約を確認しておくことや、データをこまめにバックアップすることも、トラブル防止には欠かせません。
何より伝えたいのは、「最初の1セットで完璧を目指しすぎない」ことです。私はスタンプの量は多いほうが良いと思い、無計画に40個作ろうとして疲れてしまいましたが、今振り返ると、まずは8個だけ作ってリリースし、反応を見ながら増やしていくくらいの軽さで良かったと感じています。
まとめ:収益より経験を得られる副業
LINEスタンプ副業をやってみて感じたのは、「思っていた以上に地道で、思っていた以上に楽しい」ということでした。
お金だけを見れば、現時点での収入は9月の300円だけで、時給計算をすると笑ってしまうレベルです。それでも、自分の手で商品を作り、誰かのトーク画面に自分のスタンプが並んでいるのを見ると、数字では測れない充実感があります。
「副業」と聞くとどうしても「いくら稼げるか」に目が行きがちですが、LINEスタンプは、最初から大きな収入を期待するよりも「経験とスキルを積む場」として捉えたほうが気持ちが楽になります。AIを使いながら何かを作ってみたい、コツコツ作業をするのが嫌いじゃないというタイプなら、一度スタンプ作りに挑戦してみる価値はあると感じました。



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